2010~2018 写真との距離を振り返るの巻

写真との距離を振り返る

 

【2009年】 docomoガラケーの付属カメラで写真を撮る。ブログにアップする。水たまりとか、落ち葉とか、素朴な日常風景を撮る。写りはかなり気に入っていた。

 

 

【2010年】 olympus penを手にする。レンズは付属のM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6L。ボケてる写真とボケていない写真があることに気づいた。ボケてるのがよかったけど、どうやってぼかすのか全然わからなかった。また、マクロに興味があって、LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8を手に入れる。ブログに加えて、当時初めたFacebookinstagramFlickrに写真をアップする。写真を撮るのも、見てもらうのも、嬉しくてたまらない。もっといいねくれと躍起になっていた。撮りたい欲求は膨らみに膨らんだ。美しいボケとか、広角がとか、画角がとか言い始める。

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【2011年】 ひたすらpenで撮る。

 

【2012年】 マイクロフォーサーズよりも、35mmが良いとの判断で、canon 5D mark2をゲット。付属はf4/24-105mm AF。なんかイマイチボケないので、f1.4/50mm AFのレンズを手に入れる。この頃編集も始めた。macbook airでLightroom4を使って編集をする。フィルムにも興味がでて、Olympus OM-2をebayで調達。MFで撮るようになる。減光フィルターとかも試してみる。

f:id:lessismore17:20180130165144j:plain 【2013年】 トーン元年。ディスプレイによって、撮った写真の見え方が違うことを知る。キャリブレーションとかあるのねという感じ。また、写真の明暗について、コントラスト、ハイライト、シャドウの調整に興味を持つ。カールツァイス f1.4/50mm MFを手に入れる。トーンもいい感じだし、よくボケるようになる。Macbook Pro 15inchを導入し、retinaディスプレイを使い始める。瀬戸内の島で出会った人がmark2にcontax1.4/50mmの組み合わせで撮っているのをみて、デジタルカメラとフィルムレンズの組み合わせで撮影することに興味を持つ。古いレンズの性能的欠陥が逆に魅力に感じられ、オールドレンズについて調べ始める。contaxのf1.7/50mmを手始めに使ってみた。ピントめっちゃ合わせづらいということで、マグニファイヤーをつけ、フォーカシングスクリーンも変え、環境を整えた。好みのトーンでとても気に入る。持ち運ぶレンズの数が増える。Sonnar f2.8/50mmをはじめ、やたらとレンズを探し、ひたすら撮り試した。

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【2014年】rollei35というカメラがあることを知る。機能性とデザイン性を併せ持つカメラに心奪われる。記憶が定かでないが、この年にrollei35contax Ariaが手持ちに加わった。アリアは京セラのサービス終了前にオーバーホール。資産のマニュアルレンズをフィルム機で使えるようになり嬉しかった。

 

【2015年】 ドキュメンタリー制作のためにmark3を購入。イヤフォン端子が使えるようになって、録音しながらモニタリングできるようになった。Zenheizerのマイクも購入。

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【2016年】  中判に手を出す。マミヤ RB67proSD。レンズはf4.5/65mm。好きなトーンを探して、ポラロイドにも手を出してみた。ポラロイドバックをつけた重機のようなMamiya RB67 ProSDで、撮影と現像をいっぺんにやる。ウォルター・ベンヤミンを読んだ後だったので、アウラとか一回性などとぶつぶつ言いながら写真を撮る。

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【2017年】 RB67のレリーズケーブルを買う。三脚と露出計がなしでは写真が撮れない。しかしそれがいいのだ、などといいしながら撮影をしていた。年のはじめ、写真史と承認欲求について本を読み漁った。写真の撮影と承認されたいという感情が人間の中で強く結びついていることに気づき、ひどく萎えた。憂鬱な事実をつきつけられ、写真との付き合い、さらには自分の思考方法について考え直さざるをえなくなった。その時以来、承認ゲームの中で写真を撮るのを止めることにした。誰かの賛辞を決して中心におくまいと決め、純粋に自分が心惹かれるものだけを撮ることにした。出来る限り自分の気持ちにだけ素直に応じ、嘘をつかないように努めた。簡単には写真を撮るまいと意識していたら、いつの間にかほとんど撮らなくなっていた。最初は大型カメラで、大切だと思うものだけを時間とお金をかけて丁寧にとることにしていたけれども、目標が無意識下される頃には、それにもさわらなくなった。また、やり直しのきくデジタルカメラからは離れた。さらに今度は、撮れるのだったら別にカメラなんて何でもいいやという気がして、一番身近なiPhoneでしばらく撮っていた。ロラン・バルトの写真論や記号論を読んで、それに拍車がかかる。写真のメッセージ、伝達と解釈に関心が行く。映像は解釈項に過ぎないと思いはじめたら、撮影者が何を写し、それを見た人がどう解釈するかということや、そのその背後にある解釈の傾向が、いかに文化的に形成されるかに興味が移った。ここに来て、もはや高解像度や美しいボケなどどうでもよくなった。撮った写真については、アップロードせずに自分のだけのものとしてしまっておいた。どうして、たくさんの写真をアップしたのかと自問し、また過去の写真に紐付けられた感情を流してしまいたくて、instagramにアップロードした数百枚近くの写真を消し、ブログの写真を消し、facebook上の写真を非公開にした。ただ、ある時ふと、トーンだけはどうしても譲れない事に気づいた。そのころ、気に入った写真のソースをたどるとcontaxT2で撮られていることが多かったので、クラシックでコンパクトなcontaxT2を買うことに決めた。

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*ポラロイドパックで撮影。

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*マミヤで撮って、ラボでプリントしたものをcanonMP990でスキャン。

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*一回性に咲い、一回性に泣く。スイスで、Rollei35で使ったフィルムの3本のうち2本は駄目になった。

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*Rollei35で撮影。canon MP990でネガをスキャン。

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*冬の日に、contaxT2で。

 

以 上